江口滉 Akira EGUCHI
江口滉 Akira EGUCHI
「人々が、生活に必要なさまざまなモノを美しく、使いやすく、ムダなく作ることを工芸といいます。言い換えれば、工芸は人々の最も基本的な要求に基づいて、生活に密着した、人間本来の造形的表現です。
工芸は、個人的、主観的な要求のみによって作られるモノではないのです。客観的な用途への適応、材料との適合が配慮されていなければならないのです。工芸の美しさは、制作者の教養や性格、生活感情や伝統などが作品の中で息づいているという意味で主観的であると同時に、作られたモノは人間経験から引き出されているものですから客観的普遍的なものでもあるのです。
人々の生活を豊かにする役目を果す工芸は、どのような生活を望むかによってそのあり方が変わるわけで、制作者の人生観の表れでもあります。
工芸とは、このように主観的な面を持つと同時に客観的な性格の営みですから、その制作者は個性豊かで、自分の作ろうとしているものの意味を考え、用途や実用性を意識的に考え、複雑な制作行程を計画し、実行する合理的で論理的な思考力を持つと共に現代社会の生活精神を正しく把握し、自らの生活感情の中に同化していなければなりません。工芸の美しさや良さは、制作者の優れた造形感覚、個性、社会性に対する誠実さと制作に対する熱意、創造精神の現れであるともいえます。」
このように、 江口滉氏は、工芸制作に携わる人材の育成について、組織的、計画的な教育の必要性を説いています。
培われた技術と人間味が溢れる江口滉氏の作品は、隹(鳥)の鉢の絵が、オリジナリティにあふれていて、美しいだけではなく、可愛らしさに惹かれてしまいます。
Biography
1937 出生
1960 京都市立美術大学工芸科陶磁器専攻卒業
-66 日立市大甕陶苑に勤務
1966-80 京都市立日吉ヶ丘高校に勤務
1969 池田市東山町に築窯
1980-98 京都市立銅駝美術工芸高校に勤務
1999-2009 沖縄県立芸術大学非常勤講師
2001-08 京都嵯峨芸術大学教授
2002, 2008, 2012, 2017 全関西美術展審査員
現在、新匠工芸会会員、京都美術工芸作家協会会員、大阪美術家革新懇話会会員、日本ペンクラブ会員
Awards
1970 第25回新匠工芸会展 奨励賞受賞
1971 新匠工芸会 会員
1973 著書「陶芸入門」(文研出版)を発行
1977 第32回新匠工芸会展 富本賞受賞
1990 第45回新匠工芸会展 徳力賞受賞
2001 第56回新匠工芸会展 富本賞受賞
2021 第75回新匠工芸会展 稲垣賞受賞
1973 著書「陶芸入門」(文研出版)を発行
2001 著書「やきものの世界」(岩波ジュニア新書)を発行