村山明 Akira MURAYAMA
村山明 Akira MURAYAMA
村山明氏の作品は、ノミやカンナを使い、木をくり抜き、形をつくり出していく刳物(くりもの)。木工の中でも、もっとも原始的な技のひとつで、手作業で、ひたすら木をくり抜いていく。そして、「拭き漆」で仕上げる。拭き漆とは、木地に生漆(きうるし)を塗っては布で拭き取る作業を繰り返すことで木目を生かし、美しい艶を生む技法だ。
とてもシンプルな作品に見えるのだが、よく見ると思いもかけない仕掛けが浮かび上がり、だんだんと、単純な構造ではないとわかってくる。平らで直線的な面だと思ったら、机の脚の反りのふくらみとふくらみが重なり合っていたり、柔らかなふくらみが隠されていたりする。また、作品に一流のユーモアがこっそり潜ませてある。そして、わかるかなあなんて言って遠くから見ている感じがする。使い手あるいは鑑賞者は、その仕掛けを発見し、そして納得する。そのうちに、村山氏は普段は冗談好きで知られるが、すごいことをやるチャーミングな大先生なんだとあらためて気付くことになる。
すでに人間国宝であり、社会的に高い評価を得ておられる巨匠に対して、何かをお伝えするのは僭越の限りですが、ただただ素晴らしくて素敵で、奥ゆかしい作品なので、展示出来ることがとてもうれしいです。
Biography
1944 兵庫県に生まれる
1966 京都市立美術大学卒業/黒田辰秋に師事
1970 第17回日本伝統工芸展初入選
1971 日本工芸会正会員認定
2003 重要無形文化財「木工芸」保持者認定
2004 京都府文化功労賞受賞
2005 紫綬褒章受章
2014 旭日小綬章受章
2015 京都市文化功労賞
( feature/living_art_f2/art139_l.html参照)