流麻二果 Manika NAGARE

死を身近に感じた時、人は自分が有限であると実感し、この世はとてつもなく美しく見える。
昨年、父を看取った頃、降り注ぐ陽の光や葉を広げる植物が、これまで見たこともないとてつもなく美しい光として私の前に現れた。黄泉の国や彼岸に対して生死の境目を想像する行為は、古来より日本の芸術の重要な要素であった。
私もまた、どうにかその光を捉えるために、自分自身に耳を傾け、生存の証を描く。
私が境目のこちら側にいることを確かめる絵画を描く。

 

 流麻二果 Manika NAGARE

1975年生まれ。女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻卒。風景をテーマとした絵画制作を中心に、パブリックアート、ファッションとのコラボレーションや建築空間の色彩監修など国内外で幅広く活動。主な近年の展覧会に「絵画を抱きしめて」(資生堂ギャラリー、2015)、「高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.05『見えてる風景/見えない風景』」(高松市美術館 、2016)、「色を追う/Tracing the Colors」(ポーラ美術館、2018)など。