小津航 Wataru OZU
私にとって扇面は、俵屋宗達作の扇面散図屏風を真っ先に思い出す。金箔の間に散った扇はどれも鑑賞者に対して正対しており、その特異な画面をまざまざと見せつけるように感じた。
今回の作品は東京都内の橋をテーマにして取材をし、ドローイングしてから扇面に油絵で描こうと思う。
橋は以前から自分の作品の中に出てくるモチーフであり、扇面という変化する絵画空間を跨ぐような絵を描きたい。
2020 年 3 月 19 日
小津航 Wataru OZU
1991 年生まれ。愛知県出身。2017 年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻卒業。現在は茨城県にあるスタジオ航大にアトリエを置き、絵画とイメージや東洋的絵画空間に関心を持ち制作をしている。聖書に登場する言葉や古今東西の名画に関するエピソードなどを絵画のモチーフにしたり、絵画に登場する素材を使いながら、未知の理想を拡張することを考えている。主な展示に、個展「ニガヨモギの星」(un petit GARAGE、2019)、「Anthropocene」(銀座蔦屋書店、2020)がある。