山口藍 Ai YAMAGUCHI
古今和歌集の序文、紀貫之による仮名序に“やまとうたは 人の心を種として万の言の葉とぞなれりける…目に見えぬ鬼神をもあはれと思わせ 男女のなかをもやはらげ 猛き武士の心をも慰むるは、歌なり”とある。
明治神宮の大御心(みくじ)にある歌は、受け取る各々の心に柔らかく添い、森の木々は葉を落とし尚その肥しとなり永く柔らかく生きている。百年の間、歌と木々が繰り返してきたこの柔和を享受し描いてみる。
山口藍 Ai YAMAGUCHI
1977年東京都生まれ。1995年女子美術大学芸術学部工芸科入学後、99年にニニュワークス結成。江戸時代の文化や風俗を下敷きに、遊女として暮らす少女たちを、独特の支持体を用い、繊細かつしなやかな描線で表現する。近年の主な展覧会に「Kamisaka Sekka: dawn of modern Japanese design」(ニューサウスウェールズ州立美術館、2012)、「大古事記展ー五感で味わう、愛と想像の物語」(奈良県立美術館、2014)、個展「今と古ゝに」(ミヅマアートギャラリー、2018)など。