中村友美 Yumi NAKAMURA

 中村友美 Yumi NAKAMURA

金属の一枚の板を、火にかけ、叩き、打ち出し、造形していく過程の中で
わたしはかたちの輪郭を探しています。

かたちを追いかけることは、そのまわりの部分
空気やその背景、余白を追いかけることに近く
輪郭の内と外を行き来しながら
ひたすら打ちつづけていると見えてくるものがあります。

そのものの存在、纏う空気、それらが空間におかれた時の佇まいを
想像しながらつくっています。

それらは使うことで色が変わり、艶がうまれ、
手の一部、空間の一部、その世界の一部として
その人だけの作品へと育っていきます。

中村氏は金工の作家で、埼玉生まれ東京を経て現在奈良にて活動。鍛金という技法は、金工技法のなかのひとつです。氏のたくさん並ぶヤカンは金槌で金属をたたき加工した手あとからくる、何かほのぼのとしたテクスチャーとは裏腹に、レトロフィューチャー感があるところが面白い。たくさんのヤカンが並ぶその姿は、金属でできた冬鳥達が暖を取るために固まって羽を休めているようにも見える。全体的にどこか未完な感じが現代的でもあり、インテリアデザインの事務所勤務の経歴が生かされているのか、空間を意識した作風は今の時代の空間によくあう。

Biography
1981 埼玉県生まれ
2005 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 インテリアデザイン専攻卒業
  卒業後、愛知県常滑市に3年間住む
2008 東京へと戻り 金工を始める
  デザイン事務所の勤務の傍ら、制作
2012 奈良に拠点を移し 制作をはじめる